概要
1926年にドイツで制作されたSF映画。
脚本は1924年に執筆されたといわれている。
つまり100年前の作品。
アンドロイドのマリアや、その後のSF作品に影響をあたえた未来都市ばかりが有名になってしまい、SFに興味がない人から敬遠されがちではあるが脚本がすごい。
娯楽映画のすべての要素がつまった名作なのでぜひSFが苦手という人にも見てもらいたい。
またトーキーなので時間差で字幕のセリフはでるものの どうしても役者は演技でみせるしかなく そのせいもあってこれがまたいい。
公開当時 アメリカでは勝手に編集されたり、戦争でフィルムが紛失してしまったりして現代では様々なバージョンが残されている。
筆者が鑑賞したのはオリジナルにちかい長尺のものだった。
あらすじ
舞台は100年後のだいたい2026年くらいの未来。
人々は高層ビルに住む支配者層と地下で暮らす労働者層にわかれていた。
なかでも街の心臓部ともいえる機械を管理しているフレーダーゼンは高層ビルの屋上に息子のためのありとあらゆる娯楽施設を設けてやっていた。
主人公のフレーダーはなにも知らず毎日父からあたえられた楽園でしあわせに暮らしていたが、あるときマリアという地下から来訪したらしき女性に惹かれてしまう。
マリアをさがして地上に降りたフレーダー。彼は労働者たちの過酷な環境を目の当たりにして衝撃をうける。
心臓部の機械を安定的に稼働させつづけることはなによりも優先されていた。
労働者の命よりも。
労働者の過労死を父に告発するフレーダー。
おなじタイミングで現場監督的立場の労働者が最近労働者たちのあいだで不穏な動きがあると暗号めいた地図をわたした。
同時に息子と労働者から問題を提示されたフレーダーゼンは右腕の部下を無能とクビにしてしまう。
解雇はすなわち労働者として地下で暮らさなければいけないことを意味した。
正義と思っておこなった行為で職を失わせたことに後悔したフレーダーは父の部下を自分の部屋に住まわせることにする。
そして自身はマリアをさがして地下へと降りていく。
息子の喜ばしくない行動を心配したフレーダーゼンは密偵に息子の監視を命じる。
一方で暗号になっている地図を部下の1人も解けないことに業を煮やした彼は、かつての友人であり、亡き妻を奪いあった恋敵でもある発明家ロトワングに解読を頼む。
フレーダーゼンの妻を忘れることができなかったロトワングは彼女そっくりのロボットを作ろうとしていた。
ロボットは ほぼ完成しておりあとは人間そっくりの姿にすればよいだけの段階となっていた。
地下に降りたフレーダーは労働者と入れ替わりみずからが機械稼働を維持するための過酷な労働をするようになる。
やがて彼は労働者たちのあいだで出回っている地図をたよりにマリアと再会する。
地下深くの集会所でフレーダーと再会したマリアは貴方こそ脳と腕とを仲介させる心。仲介者だと歓喜する。
2人のやり取りを盗み見したフレーダーゼンは怒り、息子をかどわかした労働者たちを殲滅してやろうとロトワングにロボットをマリアそっくりにして人々を扇動させろと依頼する。
請け負うロトワング。
「バカな男だ。奴は彼女だけじゃなく最愛の息子までをも失わせるつもりらしい」
劇中の未来の世界と現代との比較
こうしてみるとけっこう実現化している。