442連隊に関するレポート その6

【 大人を遊ぶ。ありきたりな日常を冒険する 】

【 Enjoying adulthood. Adventure at ordinary days. 】

映画化したかった脚本がある。
第2次世界大戦で活躍した日系アメリカ人部隊の物語だ。
脚本はまわりまわってあるプロデューサーが読んでくれたというところまでは聞かされている。
たしか2010年代のことだったと思う。
そのあとどうなったかは知らない。
残念だがあきらめるしかない。

脚本を書くにあたり前段階として資料を読み漁ってレポートにまとめていた。
この資料作成の作業は一時期筆者のライフワークとなっていた。
レポートによると最終編集が2009年4月22日ということになっている。
せっかくなのでこのページでそれを公表しようと思う。
サイトのコンセプトからして少々硬く重いテーマではあるが他に発表する場もないので。

なおレポートは他人に見せる予定がなかったので参考資料表記に漏れがあるかもしれない。
ご容赦ください。

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ローマへ

 第100大隊がローマに入る前に少し寄り道をして、ローマの重要性を独自に考察してみたい。
世界はかつていくつかの巨大な帝国と、その下に自治権を許された王国とで形成されていた。この体制は1640年代に主権国家が誕生するまで続く。
日本の場合、地理的条件からいって中華帝国の属国として日本王国を名乗るか、中華思想の言うところの野蛮人に甘んじるかだが、日本は数千年前より、独自にエンペラーをもつ独立した帝国であると主張し続けた。意外なようだが、日本人は昔から独立心が強かったのである。それはいつの時代も変わらず、欧米がすべてのアフリカ、アジアを植民地化しても日本だけは抵抗し、独立国を主張しつづけた。この抵抗がのちに太平洋戦争へと繋がる。
話をヨーロッパに戻す。EUをローマ帝国の復興ととらえている人たちがいる。トルコなどのイスラム圏がなかなかEUに参加させてもらえないのは、EU諸国がローマ帝国を意識しているからだという批判がある。なぜ彼らは今なおローマ帝国を重要視するのか。
欧州の人々にとって、海とは地中海を指し、地中海周辺こそが全世界である。世界史の教科書で地中海周辺から始まるのはこのためである。地中海周辺に位置するローマ帝国は、ヨーロッパと、ヨーロッパの植民地であったアメリカにとって世界そのものであり、その中心地ローマは世界の中心を意味した。

アメリカ軍はイギリス軍と先陣を競いながらローマへ進軍する。
第3次補充兵を迎えた第100大隊は6月2日、国道7号線近くの要塞を攻撃。この戦闘でB中隊第1小隊長エイキ コバシガワ曹長が議会名誉勲章を受ける。戦死15名。重傷3名。行方不明1名。
6月3日、435高地を攻撃。C中隊はドイツ軍50名を捕虜とする。
ローマ南部にはドイツ軍の防衛線シーザー(カエサル)ラインが張られ、敵は頑強な抵抗を続けた。ライダー師団長は先頭に第100大隊を配置し戦う。
6月5日午後3時、第100大隊はローマまで10キロという地点まできて、停止命令を受ける。これは輸送部隊を先行させるためだが、多くの2世兵が「ローマ1番乗りは白人に」という意図だと憤慨した。ローマ1番乗りについては意見が分かれるようだが、6月4日のアメリカ第88師団が最初というのが公式のようである。
第100大隊はこのあとローマ市郊外に向かい、さらにシビタベキアに移動し、休息をあたえられた。
アメリカ第5軍司令官クラーク中将の回顧録で、ローマ進駐の際の笑い話が残されている。「1人のアメリカ兵がコロッセウムを見上げて言った。わお、アメリカ軍の爆撃機がこれほどの被害をあたえたとは思わなかったよ」

参考資料

書籍
荒了寛『ハワイ日系米兵 私たちは何と戦ったのか?』1995平凡社
矢野徹『442連隊戦闘軍団:進め!日系二世部隊』1979角川書店(『442』2005柏艪舎 再版)
ドウス昌代『ブリエアの解放者たち』1983文藝春秋
渡辺正清『ゴー・フォー・ブローク! 日系二世兵士たちの戦場』2003光人社
ジョーゼフD ハリントン 妹尾作太男訳『ヤンキー・サムライ』1981早川書房
山田太一『あめりか物語』1979日本放送出版協会
James B.Harris『ぼくは日本兵だった』1986旺文社
望月三起也『二世部隊物語1~7』2001集英社

ウェブ
『全米日系人博物館 ヒラサキ ナショナル リソースセンター』 
http://www.janm.org/jpn/nrc_jp/nrc_jp.html
『Go For Broke National Education Center.』
http://www.goforbroke.org/default.asp

『The History of Japanese Immigrants 日系移民の歴史』
http://likeachild94568.hp.infoseek.co.jp/index.html
『二世部隊物語』
http://hawkeye.m78.com/442nd.htm
柏木 史楼『米陸軍第100歩兵大隊及び第442連隊戦闘団—日系二世米兵の第二次世界大戦 The 100th Infantry Battalion & The 442nd Regimental Combat Team 日系二世部隊、ヨーロッパ戦線に参戦』
http://www.pacificresorts.com/webkawaraban/nikkei/050203/
『コロニア ニッケイ社会 ニュース』
http://www.nikkeyshimbun.com.br/040714-62colonia.html
『第442連隊戦闘団 – Wikipedia』

なおレポートはもともと他人に見せる予定がなかったので参考資料表記に漏れがあるかもしれません。ご容赦ください。

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